東京高等裁判所 平成元年(ネ)671号 判決
ところで、建築基準法四二条一項五号の道路位置指定処分がなされた土地については、同法四四条に基づき、その地上に建築物を建築することが禁止されるから、原則的には、その公法的規制の反射的利益として、一般公衆は、日常生活上不可欠な範囲内においてこれを通行する自由権を有するものといえる。しかし、本件(一)ないし(四)土地については、道路位置指定処分がなされた昭和四八年中には前記塀等が設置され、少なくともそれ以降、その塀の内側部分について一般公衆の通行の用に供されたことは全くなく、控訴人土地の前所有者堤においても、昭和五八年までは異議なく現況道路部分のみを通行していたのであり、しかも、本件(一)ないし(四)の土地の所有者においても、少なくとも昭和五八年までは、道路位置指定処分がなされている事実自体を知らなかったことは前記認定のとおりであるから、このような場合においては、控訴人を含む一般公衆が前記塀の内側部分について通行する自由権を有するということはできないというべきであり、いわんや、控訴人が被控訴人らに対し、その地上の工作物の妨害排除請求権を有するということはできない(なお、本件(三)、(四)の土地のうち、塀の外側の部分については、被控訴人らが、控訴人の通行を妨害している事実について、何ら主張、立証がない。)。
(吉井 小林 河邉)